この世界には古来より、魔法が存在している。
種類は様々だ。火や水の無体物を操るものの他にも
傷を癒やすもの、心を癒やすもの、
傷を付けるもの、心を操るもの、物質を消滅させるもの…
それはいまもなお進化し続けている。
中でも進化が目覚ましいのは、水を操る呪文だった。
繰り返す魔法の発展により遂に、
「 水上都市 」さらに「 水中都市 」
が容易に作成できるようになった。
海上都市サザリウム
現在より約200年前に作成された海上都市だ。
学校に飲食店、お菓子屋さんや百貨店にジムやホール、そして図書館や映画館。
さまざまの施設や店が揃っており、日常生活はもちろん娯楽もこの都市で済ませることができる。
サザリウム内にある二校のうち、一校が今回の主な舞台だ。
Serzaliwom Magic Academy
その名の通り、サザリウムに建てられた魔法士養成施設。
男子校、女子校ともにSMAの略称で表されることが多い。男子校はSMAm、女子校はSMAw。
「この学校に入れば将来は安泰」
誰もがそう謳うほどに偉大な学校だ。
素晴らしい魔法士の卵と認められたもののみが入学できる。
逆に言えば、魔法の才能を持っているならば必ず入学できる。性別も人種も、何も問わず。
11月1日の朝。
君は起床するや否や、異変に気がつくだろう。
水場にたっぷりに溜まった水と、そこに浮かぶボトルメール。
手紙の内容はこうだ。
親愛なる〜殿
突然のご連絡申し訳ございません。
この度は、サザリウム マジックアカデミーへの入学を許可されましたこと、
心よりお喜び申し上げます。
あなたは素晴らしい魔法士の卵であると
こちらで判断し、招待させていただきました。
入学式は7月1日の海開きと同時に行います。
入学を希望される際は、同封されている入学許可書に
ご記名の上、5月31日までに
お近くの海や川に流してください。
前向きなお返事をお待ちしています。
SMA 学園長 ジェロ・M・ミューズ
入学することを決めた君と、
個性豊かな仲間たちの物語。
魔法を使用した際に体に溜まる廃棄物のようなもの。魔法が強いほど量も多くなる。
SMAが発見した宝石であるホワイトマリンを身に着けることで、
溜まるマリンスノウのうち8割を無害なものへ変換し体外へ排出することができる。
マリンスノウに触れることはできず、排出された瞬間は見えない。排出から約五秒した時に目視できるようになる。
体に溜まったマリンスノウは適切に三大欲求を満たすことで体から抜け出してゆくが、
処理しないまま体に溜まりすぎると白化病という病気になる。
白化病
マリンスノウが体に溜まりすぎた際に発症する病気。
軽度なら適切な処置を行うことで一命を取り留めるが、重度だとまず助かることはない。
症状は、体が白く染まるというもの。指先や毛先などから白くなってゆき、
心が白く染まってしまうともう助かることはない。
死ぬというよりは、植物人間状態になるというほうが適切だろう。
どんな衝撃が加わったとしても起きない。不思議なのが、この体は永遠に不変なこと。
老いることも心拍が止まることもなく、永遠に眠り続ける。
この病にかかった遺体は世界魔法管理委員会へ預けることができる。